平林怜助手(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌『Experimental Brain Research』に掲載されました‼
研究結果:
同時収縮中の脊髄相反性抑制の機能は拮抗筋同士の筋活動比に依存することを明らかにしました.
-下腿の前脛骨筋とヒラメ筋の同時収縮中の筋活動比がIa相反抑制とD1抑制に及ぼす影響を解明した研究-
研究内容の概要:
前回の研究(Effect of reciprocal Ia inhibition on contraction intensity of co-contraction)でIa相反抑制は最大随意収縮(MVC)15%MVC以下の同時収縮中で抑制が働くことを発見しました.本研究はさらに脊髄相反抑制の短潜時抑制であるD1抑制にも着目して検討しました.また,前脛骨筋とヒラメ筋の筋活動比を変化させることで,脊髄相反性抑制の機能はどのように変調しているのかを検討しました.その結果,前脛骨筋とヒラメ筋の筋活動比に依存してIa相反抑制とD1抑制の抑制度合いが変化することを明らかにしました.1990年代に同時収縮中は脊髄相反性抑制が機能していないことを発表されてから現代に至るまで定着していましたが,脊髄相反性抑制は同時収縮中の収縮強度,前脛骨筋とヒラメ筋の筋活動比に依存することを明らかとしました.
平林先生からのコメント:
同時収縮中は脊髄相反性抑制が働かないと言われてきたが,臨床的観点から疑問に思い筋活動と関節トルクを併用して同時収縮中の脊髄相反性抑制の働きについて検討しました.本研究は同時収縮中の脊髄相反性抑制の機能について新たな結果を発表できたと思います.
今後は過剰な同時収縮が円滑な関節運動を阻害してしまうことから,脊髄相反性抑制の抑制性介在ニューロンを活性させる介入研究を行っていきたいと思います.
Conditioning-test interval:2ms(Ia相反抑制),20ms(D1抑制)
15%MVC以下で,前脛骨筋≧ヒラメ筋の筋活動比ではIa相反抑制,D1抑制ともに働いた.ヒラメ筋>前脛骨筋の筋活動比ではIa相反抑制が働かずD1抑制は抑制量が減少するも抑制の機能は残存していた.
原著論文情報
Hirabayashi R, Edama M, Kojima S, Ito W, Nakamura E, Kikumoto T, Onishi H. Spinal reciprocal inhibition in the co-contraction of the lower leg depends on muscle activity ratio. Experimental Brain Research [in press]